1 この記事の概要について

 タイラバでレバーブレーキリールを使うメリットとデメリット、タイラバに最適なレバーブレーキを搭載したリール及びタイラバに不向きなリールの紹介、その釣り方等について紹介しています。

 過去に何度もいろんなメディアでこの釣りを紹介して来ましたが、それらの内容も含まれています。

2 導 入

 元々レバーブレーキリールは、磯釣りで使用されることが一般的で、その用途として、竿がのされてどうしようもない時にあえてドラグに頼らず、レバーブレーキの操作だけで竿を起こし、竿の復元力を使用できる状態に戻し、細い仕掛けでも魚をキャッチできるようにしたものです。

 磯釣りの道具の特徴として、長い竿と細い仕掛けがあり、特にメジナ(尾長グレ)釣り等では、竿の長さを生かした弾力とこのレバーブレーキの機能を活かして、細い仕掛けで瀬際に突っ込む魚をいなして釣り上げます。

 昔は、LB(ドラグなし)とLBD(ドラグあり)がありましたが、近年では全てドラグありのLBDのリールが一般的です。

 昔からひとつテンヤで使用していた人もいますが、その使い方としては、磯釣りのように魚が下に入り込んだ時に、竿が起こせない状態を改善するような磯釣りと同じように使う方法で使っていました。

 ルアーで使用する方法としては、シーバスを狙う際にベールを返すことなく糸を送り、ルアーをドリフトさせるように使うような方法が実践されるようになり、メーカーの方でもルアー用のレバーブレーキリールを発売するようになりました。

 私のレバーブレーキリールのタイラバへ使用するための検証としては、15年以上も前から検証をしており、元々は私が開発したバーティカルのスピニングタイラバを更に進化させるにはどうすれば良いかという発想からでした。

3 タイラバでレバーブレーキリールを使うメリットについて

 一般的なメリットとして、考えられているのは、以下のものになります。

 ① スプールの交換が容易

   レバーブレーキリールの特性上、ボタン一つでスプール交換が可能です。

   ドラグについては、事前に設定しておけばすぐに交換後、再開可能ですが、状況によってはドラグ設定したまま、そのまま保管するとドラグが締め付けられたままの状態になり、ドラグ性能が落ちることがあるので注意が必要です。

 ② キャストしてからのテンションフォールが可能

   ベイトリールと同様にキャストしてからのテンションフォールが可能であり、状況により真鯛への有効な誘いとなります。

   ベイトリールと同様ではあるものの、ブレーキの強弱についてはハンドルの重さやブレーキの掛け方が影響することもあり、状況によりいろいろと変える必要もあります。

 ③ バーティカルの釣り方であればコンビネーションフォールが可能

    このコンビネーションフォールは、私が各種メディアでこの釣り方を紹介する際に使う名称になります。

    レバーブレーキリールを使用したバーティカルのスピニングタイラバでは、状況によりベールを返したフリーフォールとレバーブレーキでのテンションフォールの組み合わせが非常に有効となります。

   最初にフリーフォールで興味を引き、レバーブレーキを使用したテンションフォールであえて追わせ、それから巻き上げで食わせるような方法になります。

  この釣り方になれてくると、どのような状況でどの組み合わせが一番最適なのかわかり、他の人に全く当たりがない状況でも、渋い中の1枚を引きずり出すことが可能です。

 コンビネーションフォールの紹介記事→ https://tyokinbako9901.jp/archives/1046

 ④ 根掛かりの回避能力が普通のスピニングよりもやや高い

   基本的にベールを返したフリーフォールをする時は、レバーブレーキ搭載リールでも普通のスピニングと同じです。

   レバーブレーキを使用した場合、着底がややわかりやすくなるものの、それでもベイトリールの感度を100としたら、70ぐらいしかないので、あくまでおまけ程度のものです。

  また、レバーブレーキのテンションフォールは誘いには有効である反面、使いすぎると魚に見切られることがありますので、注意が必要です。

 ⑤ 真鯛にタイラバのヘッドを飲まれることがない。

   レバーブレーキのリールも含め、バーティカルのスピニングタイラバでいわゆる大鯛を何百と釣っていますが、バーティカルのスピニングタイラバで一度もヘッドを飲まれて切られたことがありません。

 タイが噛みつくバイトポイントをわざと作っていることもありますが、スピニングの場合、落下速度がベイトに比べて速いため、タイが落下中に攻撃できることが少なく、飲まれることも少ないです。 青物の場合は、バーティカルのスピニングタイラバで数え切れないぐらいフリーフォールでヒットしたこともありますが、真鯛の場合、青物に比べ反応速度が遅いのか、一度もフォールでの丸呑みはありません。

 タイラバでレバーブレーキリールを使うデメリットについて

 ① 損耗がベイトに比べ激しく、修理代やオーバーホール代が毎回高くつく。

    毎年1回以上、バーティカルのスピニング用のステラと一緒にメーカーに出すものの、1台当たり最低1万円以上かかることがあります。(特にステラは、ドライブシャフト等も損耗し、1台当たり2万円超えることも・・・・)

   本体の元々の値段もさることながら、修理やオーバーホール代が高いので、私はこの釣り方は人には常々個人的にはおススメしていません。

 ② ダブルハンドルが必須及びバランサーもないと性能が十分に発揮できない。

   これは私の過去の記事等でも書いていますが、この釣りのポイントとしてはレバーブレーキを使用してフォールスピードを調整するのではなく、あくまで車のエンジンブレーキのように、ダブルハンドルの重さを利用してフォールスピードを一定にしつつ、ヘッドの重さが重く、フォールスピードが速すぎる時に調整するためにレバーブレーキを使用します。

 その際、バランサーがないと速度調整が安定せず、1日中この釣りをした時の手首への疲労が増す等の弊害があります。

 そのため、後述しますが、シマノの現行のレバーブレーキリールは、いずれもこの釣りには構造上不適です。

 ダブルハンドルとバランサー、リブレ製品を使用するのが前提ですが、これらをセットで購入すると3万円以上もするので、あまりこの釣りをお勧めできない理由でもあります。

 ③ キャスト時にレバーブレーキを意識することもあり、キャストがしにくい。

   構造上、どうしてもレバーブレーキが邪魔になり、キャストにはコツがいりますので、ある程度使い慣れていないとキャストミスで、ヘッドが自分や他のお客さんに当たる可能性もあり、事故が発生するおそれもあるので注意が必要です。

 ④ バックラッシュすることもある。

    レバーブレーキのON/OFFをしっかりと管理していないと、ふとした拍子にローターが逆転し、バックラッシュをすることがありますので注意が必要です。

 ⑤ レバーブレーキで魚を止めることはできない。

   よく勘違いする人がいるのですが、青物や大型の真鯛を無理にレバーブレーキで止めようとするとブレーキシューの部分が損耗し、最悪の場合破損します。

  メーカーの注意点でも書かれていますが、元々がそもそも止めるためのものではなく、糸を出して有利な態勢を作れるようにするだけなので、いくらダイワのブレーキ力がすごいとか言っても、無理に魚を止めようとすると壊れますのでご注意を。(レバーブレーキ機構の修理代は、パーツが複雑に組まれており高いです。)

 その他注意事項

  この釣りを知らない(人の記事の内容をパクっている人)が各記事には、メリットとしてタモ入れがしやすいとか、デメリットとして種類や品数が少ないとか書いていますが、基本的にはこれらはメリットでもデメリットでもありません。 

 そもそもマイナーだから仕方ないのです。

6 タイラバ対応のレバーブレーキリールのおススメ機種

  おススメは2機種のみです。(1つは廃版)

 ① ダイワ22トーナメント磯3000LBD(ノーマルギア)

   現行のトーナメント磯ですが、こちらは18トーナメント磯に比べギア比が高いため、巻き上げ能力が落ちていますが、150gまでのタイラバヘッドであればストレスなく使えます。

 浅い所でキャストを多用した釣りをするのであれば、3000XHがお勧めです。

  ハンドルのカスタムとしては、ノーマルギアの場合ならば、リブレのwing100やunion52-58がお勧めです。

  ハンドルノブはwingならばEF30、unionの場合EP37やPT35もお勧めです。

  なお、ハイギアの3000XHの場合、wing110の方がバランスが良いです。

過去のインプレ記事→https://tyokinbako9901.jp/archives/1902

 ② ダイワ18トーナメント磯3000LBD

   既に廃版機種ですが、この世に存在するレバーブレーキリールの中では一番性能が高いです。

  こちらの製品は22トーナメント磯に比べ、ギア比が低く、200g以上のヘッドでもストレスなく巻けます。

  大型が多い海域等ではこちらがお勧めです。

  ハンドルの設定等については、22トーナメント磯と同じです。

 過去のインプレ記事を含む。→ https://tyokinbako9901.jp/archives/443

7 タイラバ対応のレバーブレーキリールのおススメしない機種

おススメしないのは、下記のリールになります。

 ① 17モアザン2500LBD

 ② 鏡牙LBD

 ③ スイッチヒッターLBD等廉価版のレバーブレーキリール

 ④ シマノのレバーブレーキリール

 おススメしない理由については、①~②については、その機構の問題になります。

 過去に私自身トラブルにあったので過去記事を参照して下さい。

 過去リンク→ https://tyokinbako9901.jp/archives/295

 なお、モアザンと鏡牙の構造はほぼ同じため、同様の問題が発生しますので、ネットでお勧めとか紹介している記事がありますが、お金をドブに捨てるだけの結果になるので気を付けて下さい。

 ③については、この釣りに関しては速度調整等非常にシビアな操作が要求されるため、廉価版製品を使うとフォール速度が一定にならなかったり、何かとストレスが多い釣りになってしまいます。(まさに安物買いの銭失いになります。)

 ④については、バランサーのところでも述べたように、主にレバーブレーキの操作で釣りをする釣り方ではありません。

 特に、バランサーが付かないリールは、ハンドルの交換を純正品のものから換えるだけで著しく性能が落ちるため、注意が必要です。

 バランサーに関する記事→ https://tyokinbako9901.jp/archives/293

 最近のメーカーの特徴として、まともにテストしないで出すので購入する際もしっかりとお店で触って、少しでも自分のイメージと合わないと感じたらやめたほうが賢明です。

 一応、21BBX(SUTタイプ)の記事ですがリンクを載せておきます。

 過去記事のリンク→ https://tyokinbako9901.jp/archives/1817

8 まとめ

 このレバーブレーキリールを使ったスピニングタイラバに関しては、ネタが切れて困ったメーカーや自分ではネタを作れず、人の記事をパクるブロガー等がいろいろ書いていますが、そのような人達の言うことや動画等は信用しないで下さい。

 特に、最近のメーカーは情報弱者を騙して買わせるようにすることも多く、船でその道具は使えないと言われて可哀そうな思いをしている人を何度も見てきました。

 人が一生懸命に働いて稼いだ金を大した手間もかけず、騙して売る、そのような状況がまかり通るならば、釣りという文化は衰退します。

 そのような輩を許してはいけないと考えています。

 元々この釣り方は、私が一番最初に各種雑誌等のメディアに紹介し、大手ルアー雑誌のソルトワールドでも紹介されたりしました。

 レバーブレーキリールを使いこなすのは確かに格好よく見えるのかもしれませんが、個人的にはこの釣り方自体、私が20年近くやってきたバーティカルのスピニングタイラバの進化系のひとつです。

 バーティカルのスピニングタイラバも元々は、ベイトが当たり前、スピニングは見切られるから釣れないという肩身の狭い状況で、日本各地で成果を上げて今では広く使われるようになりました。

 この釣りを誰よりも愛していて、わかっているからこそ、しっかりと特徴やメリット、デメリットを紹介し、どうしてもやりたい人はやれば良いと思っています。

 過去の記事でもコストがかかりすぎるので、おススメしていません。

 無理にこのタックルを揃えるぐらいなら、ベイトタックルをもう一つ揃えるか他の道具を買った方が賢明だと思います。

 私はあるメーカーのテスターもやっていましたが、釣具を売る側としては本当に釣りが好きな人間とお金が好きな人間の2種類がいます。

 悲しい話、実際お金を得ることが好きな人間の方が多いです。

 本当にいろんな釣りをやってみたい、もっと上手くなりたいと等と考えている人がこのような輩の言うことを信じたりして欲しくないので、この釣りを始め、いろんな各地の釣り方等を紹介しています。

 自分一人たくさん釣れて、その方法を隠していても釣りという文化は進化しない、それならば自分の経験等を広く紹介して、役立ててもらえばもっと釣りが発展すると考えています。