タイトルの写真の魚はワラズカ(正式名称はナガズカ)と呼ばれる魚で、卵巣に毒を持っていますが、非常に美味しい魚です。

北海道ではエゾイソアイナメ(ドンコ)とともに、タイラバによくヒットします。

今回の記事は、内容自体は「釣りぽ」に掲載していただいている私の記事とほぼ内容は同じです。

最近興味を持つ人が増えてきたレバーブレーキを使用したスピニングタイラバについての魅力とその特徴について紹介します。

ソルトワールドさんにも載せていただいて紹介してもらったり、レジャーフィッシングさんの「釣りぽ」や誌面で紹介させてもらった成果が出てきたようで嬉しい限りです。

今回はレバーブレーキの特徴、普通のスピニングタイラバとの違い、どんなリールがお勧めか、具体的な釣り方等使について紹介します。

リール自体の性能は最高ですが、この釣り方にはあまり向かない18トーナメント磯3000LBD
(バイターボのブレーキが効きすぎるため)

 このレバーブレーキ付きのリールを使用した釣り方はいろいろな釣りへ応用できる(ライトジギング等)可能性を秘めており、パターンがはまると「釣れた」ではなく、「釣った」ことを実感できる楽しさがある釣り方です。(上手く使いこなせればヒット率が上がります。)

【レバーブレーキリールの特徴について】

 普通のスピニングリールと大きく異なる点は、ローターの逆回転を行うためのレバーが付いており、一部のスピニングリールに付いている、逆転の切り替えスイッチの役割をすることです。

 この機構は元々、メジナのフカセ釣りで魚に竿をのされて竿の復元力を使えない時に糸を出して、竿を立てることができるようにするために使うのが本来の使い方です。

メジナも5月頃に産卵の時期となるとタイラバによくヒットします。当たりは金属的な当たりが多いです。タイラバで釣れるメジナは良型が多いのも特徴

 昔は、ドラグのないLBリールとドラグのあるLBDと2つのタイプがありましたが、現在はLBDのリールが主流です

 また、レバーブレーキリールは、ボタン1つでスプール交換できる仕組みがあり、これはタイラバやライトジギングなどで根掛かってしまって高切れしたりした時に、すぐに事前にドラグ値をセットしたスプールに交換が可能です。

 気になるリールの価格としては、通常のスピニングリールに比べ、機構が複雑なので高くなっています。

 更に、リールの番手によっては、ハンドル部分がねじで固定しているものと、ハンドルのねじ込み式の2種類がありますが、可能であればねじ込み式を選んでください。

ネジ固定式の尾長モンスター4000LBD(ダブルハンドルが使え、ローギアなら最高のライトジギング用リールなのに勿体ない・・・)

その理由は、レバーブレーキリールを使用したスピニングタイラバの注意点のところで紹介します。

【レバーブレーキを使用したスピニングタイラバのメリットとデメリット、と普通のスピニングタイラバの違い等について】

 〇 レバーブレーキのメリット

 ・フォールの当たりを普通のスピニングリールを使用した時よりも拾うことができる。(普通のスピニングでは、フリーフォールのみしかできないため、フォールの当たりを拾い辛い)

 ・テンションフォールとフリーフォールの組み合わせ、コンビネーションフォールで巻き上げとフォールの往復で魚に誘いをかけることができる。

 (特に、マダイの活性が高く、執拗に獲物を追い回す時に効果的です。)

この釣りをしているとフォールでヒットする時によくスレがかりみたいになることもあります。
コンビネーションフォールで食わせた真鯛

 ・根掛かりした時のスプール交換が速い。(ワンタッチで交換可能)

 ・ブレーキをかけたテンションフォールにより、両軸リールと同じような感覚で着底を感知できるため、根が荒い釣り場などで根掛かりの軽減ができる。

・ブレーキをかけたテンションフォール後のタッチアンドゴーがしやすく、魚に見切られる確率がやや減る。(まぁ。これは固定式の時でも普通に着底後素早くベールを返すだけで、ほとんど見切られたこともないので、ましてや遊動式の場合はネクタイとスカートが着底する時間がヘッドが着底して1呼吸分ぐらいの時間の余裕があるので、特にメーカーが強調するようなメリットというものでもありませんが・・・)

 〇 デメリット

 ・フォールを使用する状況の判断を誤ると、魚に見切られ、釣れなくなる。

 (これが難しく、この釣り方の面白い所です。技量と経験を問われますので。)

 ・リール自体の値段が高い。(普通のスピニングリールなら1ランク上のリールが買えます。この釣り方へのこだわりがなければ、イグジストやステラを買う方がおススメです。トーナメント磯は、リブレのカスタムハンドルやバランサーを付けたら、糸の金額を合わせると12万円ぐらい行きます、モアザンも同じ。)

 〇 どちらにも共通すること

 ・乗り合い船で不利な釣り座の時にキャストして着底ポイントをずらしてフレッシュな個体を狙うことができる。

・ハイギアとローギアの選定基準(実釣の経験に基づく)

 ハイギア:ヘッドの重さが60gまでが最適(材質にもよる、タングステンなら80gまでが最適)

 ローギア:ヘッドの重さが120gまでが最適(例外的に、ダイワの3000~4000番クラスのリール、シマノ4000番サイズなら200gまでは問題なし)

 ※このリールに対する最適なヘッドの重さについては、「釣りぽ」のバーティカルのスピニングタイラバの記事で紹介しています。(10年以上の実績から導き出したデータです。)

【レバーブレーキリールを購入する際に注意すべきこと】

 よくネットでレバーブレーキリールを紹介しているサイトでは、安い商品をお勧めとしていますが、これは安物買いの銭失いになるので注意が必要です。

 その理由として、レバーブレーキリールの性能として、高い商品と安い商品では、ローターの材質や細部の作りや使用している部品等が異なり、高い商品はローターが軽くて逆回転させるときにほとんど抵抗にならないのに対して、安い商品はローターが重く、フカセ釣りで使う分には問題ないのですが、タイラバのようにシビアなフォールを意識する釣りでは、材質でフォールに影響することは大きな問題となります。

 そのため、もし購入するなら少なくともフラッグシップモデルに準ずるモデルのもの以上の商品を購入した方が長い目で見ても壊れにくく、メンテナンス等の費用もかからずお得です。(ダイワ製品なら、鏡牙LBDやモアザンLBD、トーナメント磯LBD、シマノ製品ならBBXテクニウム等)

 お勧めは前述したように、ローギアのリールがお勧めですが、キャストを多用する場合、特に水深が20m以浅の場合などは、ハイギアがお勧めです。

【レバーブレーキを使用したスピニングタイラバの注意点と釣り方のポイント】

 この釣りはハンドルの形状と使用するルアーの形状でフォールの良し悪しが決まります。

 具体的には、よくレバーブレーキを使用したスピニングリールの実釣動画でハンドル(シングルハンドル)がすごい速度で回っているのを見たことがある人もいると思いますが、これはフォールのメリットを活かせていません。(竿の角度で速度調整するにも限界があります。)

 多くの人が勘違いしているのが、フォールスピードを制御するためにレバーブレーキを使うと考えますが、これはあくまで前提として、「フォールの速度を安定的にコントロールできる状態で、このレバーブレーキを使用したフォールを行うことでヒット率が従来のスピニングリールのタイラバに比べ上がる」ということです。

 みなさんが見たことがある動画のように勢いよくシングルのハンドルが回っている状態で、うっかりテンションをかけないで着底させると、その瞬間にバックラッシュします。特に、スピニングのバックラッシュは経験したことがある人はわかると思いますが、ラインが1回でダメになります。(バーティカルで生起しやすいです。)

 では、フォール速度を安定的にコントロールできる状態にするにはどうすれば良いかというと、フォール速度を竿の角度、ハンドルの形状とルアーの形状等で軽減し、レバーで操作しやすい状態にします。

 この他には、ドテラで使うのであれば、潮が効いていれば潮の横の動きでフォール速度が勝手に調整されますので、もっとフォール速度の調整がしやすくなります。

 レバーのみでフォール速度を調整するのは本当に大変です。

 特に最近のダイワ製品に搭載されているバイターボブレーキはブレーキが効きすぎるため、非常に速度調整が難しいです。

従来のフカセ用やシーバス用のLBDのブレーキの効き方がじわじわと効いていくのでこの釣り方にはお勧めです。

一番お勧めのリールですが、この釣りに使っていて、原因不明の故障をしました。メーカーでは、レバーブレーキの耐久テストは、私のように実際に使い倒してやってないそうで、同じ構造を持つ鏡牙LBDでも発生する可能性があります。(1年間で4万回程切り替えして、レバー機構が故障です。)

 フォール速度の調整を容易にするために、私がお勧めするのはハンドルをシングルハンドルからダブルハンドル、もしくはカウンターバランス付きのシングルハンドルへの交換(リブレ製品等)です。

 このハンドル変更の理由は、通常のシングルハンドルでは、タイラバやジグの重さが増えれば増えるほど勢いよくハンドルが回転するので、そのスピードを調整するために、ハンドルの重さを利用してエンジンブレーキをかけるように、フォール速度を調整します。

本当にこのハンドルの交換だけで、釣り易さやフォールでの当たりが増えるのでお勧めです。

レバーブレーキを使いこなせる人はこの理由を理解していますが、そうでない人達はまだまだこのハンドルの重要性に気が付いていないようです。

前述したネジ固定式のハンドル(ダイワの18尾長モンスター4000LBD等)では、ハンドル交換の選択肢が極端に少ない(作っているメーカーがほとんどないので、昔のパーツ等を流用するのみ)ので、ねじ込み式のハンドル(トーナメント磯なら3000番クラスのハンドル等)が付いている製品を購入した方が良いです。

 なお、時々勘違いしている人が多いのですが、レバーブレーキを使用して大物とのやり取りをする、これをするとリールが破損します。特に、青物や大型真鯛の走りをレバーブレーキを使用して止めようとするとブレーキのみだけではなく、その他の部分にもダメージが出たり、怪我をする可能性もあるので、高い修理代を払ったり、病院に行きたくなければ試さない方が無難です。

 スペック上ブレーキ力が10キロほどあっても、魚が走る時にかかる力は、10キロをゆうに超えるので、その勢いを止められません。

【レバーブレーキを使用したスピニングタイラバの具体的な釣り方】

 普通のスピニングリールを使用したスピニングタイラバと大きく違いはありません。

 私自身、この釣り方をやっている理由としては、もともと私のバーティカルのスピニングタイラバの完成形がこの釣り方で、この釣り方でないと自分の思うような釣りを展開できないからです。細部は、バーティカルのスピニングタイラバの記事等をご覧ください。

 ちなみに、この釣り方を知り合いの船長にやってもらったところ、感想として「思った以上にやり辛く難しい」でした。

 慣れない内は、レバーが邪魔でキャストしづらかったり、レバーの操作に手間取ったりしますが、慣れてくるとその効果を実感し手放せなくなります。

 浅い所でキャストして使う場合は、着水した瞬間にベールを戻してレバーブレーキを使用してテンションをかけてのカーブフォール、着底したら巻き上げ、そしてンションをかけてのカーブフォールの繰り返しです。

 深い所で使う場合は、最初はフリーフォール、着底後巻き上げ、レバーブレーキを使用してテンションフォール、巻き上げの繰り返しやフリーフォールの繰り返しで魚をじらして、レバーブレーキを使用してテンションフォールすると、その後の巻き上げで一発で食ってくることが非常に多かったです。

 当然、フォールでも食うことが多く、投入後にフリーフォールさせて巻き上げ、テンションフォールをして、いきなり糸ふけが出てヒットすることも多かったです。(北海道の大型の黒ソイには特に有効でした。)

北海道ではこの釣りは特にクロソイに有効でした。

【結言】

 このレバーブレーキを使用した釣り方は、道具は高いし、慣れないとやり辛いのでかなり敷居が高いと思います。

しかし、この釣り方になれると、釣り方の幅が非常に大きく、広くなり、もっと多くの魚をキャッチできる釣り方だと確信しています。

 まだまだ既存の道具を利用してこの釣り方をやっていくしかない状態ですが、今後ライトジギングやタイラバなど多くの釣りに応用できるようレバーブレーキリールもいろんなラインナップが出ると楽しいのにと感じています。