1 この記事の概要について

  外房勝浦川津漁港沖のイシナギ釣りの仕掛け及び釣り方(釣法)について紹介しています。

2 導 入

  この地域は10年程前に巨大なイシナギが釣れ続いて有名になった地域です。

    しかしながら、最近では70キロを超えるモンスターサイズは稀で、大きくても30キロ超ぐらい、主に10~20キロ前後のサイズが主体となっています。

   そのため、昔を知っている人が紹介する釣り方では、タックルバランスや釣り方等が悪く、かつ昔は下手な人にも大きなサイズのイシナギが釣れていたため、恰も自分が名人のようになったと誤解する人もいます。

 そのような人のやり方では近年の渋い状況の絶対に釣れません(実際、渋い時にはボウズになる人がほとんどです。)

3 この地域の仕掛けと釣り方について

 仕掛けについては、エサの種類によって変わりますが、大きく分けて3種類あります。

  1 スルメイカをエサとして用いた仕掛け

  2 ヤリイカをエサとして用いた仕掛け

  3 アジやイワシをエサとして用いた仕掛け

 大きく上記の3種類になります。

  3はかなり特殊な状況になるので、1と2のみを紹介します。

  3は、チビムロや小鯵を用いたカンパチの仕掛けに近い物になります。(最低ハリスは40号以上ですが)

  まず、1のスルメイカをエサとして用いた場合の仕掛けについてです。

  この場合の仕掛けとしては、幹糸50~60号2m、捨て糸20号15センチ、ハリス50~60号2mとなります。

  ハリスは40号でもイシナギを取れなくはありませんが、切られることも多いです。

  私の場合、40号を使う場合は、シーガーのプレミアムマンユウを使い、ワンランク強度を上げています。(潮が動いていない時)

 なお、私の場合、基本的にナイロンハリスは使用しません。(フロロの方がイシナギに向くと考えるため。)

  ハリスについて、60号よりも太い糸(70号以上)ものを使うと食いが落ちるだけでなく、潮の影響を受けやすくなり、オマツリが多くなります。

 たまにイシナギをほとんど釣ったこともないのに、100キロ超を釣りたいと言って道糸PE20号、ハリス80号以上を使う下手な人がいますが、オマツリ多発、根掛かり多発、結果としてボウズとなっています。

 特に、勝浦沖のイシナギ釣りは、起伏の激しい瀬を狙うため、太い仕掛けや道糸を使うと着底がわかりにくくなり、結果として根掛かりが多発します。

 経験の浅い人にはイメージが付きにくいのか、根掛かりをすると魚の反応が散るということを理解できていない人が多いです。

 イシナギも同様で、根掛かりした人がいると、少なくとも流し直すまでは当たりが出ないことが非常に多いです。

 そのため、極端に太い仕掛けや道糸は、オマツリを頻発させたりもすることもあり、絶対にNGなので注意して下さい。

4 鈎について

  はっきり言って雑誌などで紹介されているしかけにはド素人としか言えない人が書いているので絶対に信じないで下さい。

 このイシナギ釣りでは、3のアジやイワシを使った仕掛け以外は最低2本以上の鈎を使います。(親鈎と孫鈎構成)

 他の地域では、イシナギをリリースするためとかいう理由で、1本と決めている船宿もありますが、これをするとキャッチ率も落ちてしまいます。

 実際にこれをやっている地域の船宿のキャッチ率は低いです。

 この理由については、イシナギはまずエサを飲み込み胃袋の入り口にイカの足と目ががっちりと挟まれます。

 その時イシナギの口はしっかりと閉じられて、ある程度胃の中に入った段階で、反転します。

 この時の親針と孫鈎については、親針はイカのエンペラ部分にかかっている状態で、孫針はイカの漏斗付近に付けているので胃袋の入り口付近にあります。

 イシナギの当たりについては、何度か突っ込んで3回目ぐらいに突っ込んだ段階で電動ならば高速にしつつロッドホルダーから竿を外し合わせを入れますが、この合わせを入れる段階の時のエサの状態は次の通りになります。

 まず、ライン角度にもよりますが、通常であればイシナギの胃袋の入り口にあったイカの孫鈎が抜けます、その時親針(エンペラ部分)がかんぬき部分に掛かり。引っ張られて孫針がかんぬき部分に移動します。

 ここで強い合わせを入れることにより、孫鈎が刺さります。

 親針は外れることが多いのですが、時には両方の針がかんぬき部分に刺さることがあります。

 運が良い時は、孫鈎が胃袋の入り口に刺さり、イカが原型をとどめた状態で上がってくることがあります。(この時のイカはほぼ無傷のことが多く、表面の傷もほとんどなくて再利用可能)

 ラインの角度が45度以上ついているとき(潮が速い時)などは親針が口の中のちょうど目の下当たりの部分に掛かってしまい、あまり強く合わせを入れると外れることもあります。

 基本的にイシナギがヒットするとイカが上記のメカニズムで最初はくの字になり、ファイト中にイカは外れてしまうので、バレてしまった場合でもイカはなくなることが多いです。

 親鈎がスライドせずに孫針のみが掛かり、エサが残るようなことは絶対にないので、もしオマツリして上がって来てそのような状態であれば、他の人の仕掛けが単にまつって針が掛かっただけなので、それはその人のイシナギではありません。

 画像下のイカはそのような状況で上がった一例になります。(結果として私が最初に掛けたのに、途中でPE20号の素人仕掛けが絡み、釣り上げたのに持っていかれたものです。(かわいそうなのであげたのに、サイズが小さいので大きいのが良かったみたいなことを言いやがったボケがいましたが))

 前述したような食い方をイシナギはするので、これが親鈎のみでやるとイシナギが反転した時に親鈎が引っかからない時があればバレてしまう状況になります。

 というか、イカをエサに使う場合は、親鈎と孫鈎の構成にしないとヒラメも掛かってばれますし、余程大きな魚以外はエンペラ部分にかけている親鈎がかかることはありません。

 親鈎と孫鈎の構成ですが、親鈎は石鯛鈎、孫鈎は泳がせ鈎が基本です。

 よく親鈎にヒラマサ鈎を使うはっきり言ってバカ、センスがない輩がいますが、これは絶対にしないで下さい。

 ライン角度が付いている時は、親鈎のみが掛かることがり、20キロ以上もある魚をヒラマサの14号ぐらいの針で掛けてしまうとほとんどが伸ばされたり、折られたりします。

 私以上にイシナギを釣っていて腕がある人でもかなりきついと思います。

 瞬間的に大きな力が掛かり、竿もそれなりに硬いので衝撃を全て針先で受けるためどうやっても針がもちません。

 断言していいぐらい無理です。

 逆に、親鈎を極端に太い物、孫鈎と同じぐらいのサイズの鈎を使うアホもいますが、これもダメです。(親鈎、孫鈎ともクエ針の40号など)

 某メーカーのテスターが動画で自信満々に紹介していますが、この人の言うことはほとんどが船長から聞いたことであり、それを恰も自分のやり方のように言っているので、船長もこれには激怒しています。

 実際、過去記事には載せてありますが、この人と乗船した時に、その腕のなさを目の当たりにして、ダメだなこの人はと感じました。

 過去記事のリンク→ https://tyokinbako9901.jp/archives/2144

 親鈎に大きな針を使うと、当たり前のことですが、エサ自体が沈みます。

 死んだエサなら棚を外し、生きたエサでも棚を外し、かつ弱るのが早くなります。

 具体的な針のサイズとしては、親鈎が石鯛針の18~22号、孫鈎が泳がせ鈎の28~30号(オーナーの泳がせ鈎がおススメ)が最適です。

 なかなか泳がせ鈎が置いていないこともあるので、この部分はクエ針の35号を使っても良いです。

 親針の固定方法は、かなり特殊で市販品はピンクの糸で巻いていますが、これをやると食いが立っている時は問題がないのですが、渋い時は船長が言うにはイシナギに見抜かれるとのことでお勧めしません。

 船長はチューブを通しその上に針ごとナイロンで巻いて接着剤で固定しています。

 私の仕掛けは、ベースは船長の仕掛けなのですが、ちょっと特殊なもので作っています。(基本的にコスト無視で作っています。)

 基本的には、この海域で市販品は使い物になりませんので、船長から仕掛けを買う方が安いです。(釣れるし)

5 イシナギの釣り方について

 基本的にはエサが底から1m浮いている状態に保つ必要があります。

 具体的には、ハリスが2mなら底から3m巻いて待つような感じです。

 以前は、ハリス約3mでやっていましたが、最近はコストと潮が行かない時の食いなどを総合的に考慮して止めて約2mにしました。

 長くしても3mまでと考えてもらうと良いです。(3mの時でもシーズンで13本取っていますが)

 孫針の結び方ですが、坂本結びでないとダメみたいに考えている人が多いみたいですが、経験上外掛け結びでも全く問題がありません。

 イシナギの50キロオーバーを始め、30キロ程のクエなど数多くの魚を釣ってきましたが、締め付けのみしっかりとしていれば針が抜けることはありません。

 棚の取り直しの感覚ですが、基本的には1分に1回以上やる必要があります。

 イシナギの場合、大体棚を取り直してすぐに当たることが多く、棚取りが誘いになっています。

 そのため、竿をロッドホルダーに置いたまま、腕組みをしている人にはサメやメダイこそ釣れるもののイシナギは釣れません。

 イシナギの当たりは、基本的にロッドホルダーに竿を置いて待ちます。

 当たりが出ても3回目の引き込みまで待たないと、胃袋の入り口からイカが出て、イシナギが口を開けてしまうのでバレてしまいます。

 この時、イシナギもイカを逃がすまいとしているのか、歯でイカを噛んでいるので、上がってきたイカの表面は水膨れみたいになります。

 シーズン初期のヤリイカエサの仕掛けについて、基本的にスルメイカを用いた仕掛けと同じです。

 船宿仕掛けで対応できますが、私の場合は、ヒラメの食い逃げ防止のために針を3本構成にしています。

 また、これはエサとなるヤリイカがパラソルサイズのため、2本針ではエサが安定しないためでもあります。

 構成は、石鯛針×2、泳がせ鈎×1の構成です。

 しかしながら、この仕掛けだけは細部は明かせないので説明は割愛します。

(最近レバーブレーキのスピニングタイラバを始め何かとパクって動画にする輩が多く嫌なので)

6 結 言

 勝浦沖のイシナギ釣りは、基本的に仕掛けは初めての方は事前に用意するのではなく、船長から買った方が良いです。

  自分で作る人も船長の仕掛けの真似をして作る方が良いです。

  その際、特に親針の固定方法については聞いた方が良いです。

  釣り方のポイントとしては、棚取りをしっかりとやることになります。

  釣り座は、基本的に艫から入ることがほとんどなので、きちんと棚取りをしていれば胴の間でも釣れます。(大体艫に乗る人は釣る人ではないため)

 ミヨシはあまりお勧めしません。(毎回私はミヨシですが、ここはうねりがある時など短い泳がせ竿などで釣ると釣り辛いため、一番釣り座としては難しいです。)

 ずっとミヨシでやってきてイシナギを一番釣ってきていますが、初めてとかずっと釣ったことがない状態で来た人にはなるべく釣ってもらいたいと思い、情報は開示しています。

 動画で100キロ超のイシナギを釣る仕掛け等紹介している人がいますが、動画で信用できる人の物は少ないです。

 私がおススメする人の動画は、「マッツのアウトドアライフ(https://www.youtube.com/watch?v=xp0JjZ4Co2Y)」という動画で、こちらの方は昨年ずっとイシナギに通って、今年やっと釣り上げた人で、いろいろと試行錯誤されて来たのと、イシナギ釣りの場面がどんな状況なのかがわかりやすい動画を作られているのでお勧めです。