1 この記事の概要について

  千葉県の外房、勝浦沖のイシナギ釣りの道具や釣り方等について紹介しています。

  この記事は、2023年5月中旬現在のものです。

2 イシナギの釣り方について(仕掛け、竿、リール等)

 外房勝浦沖のイシナギの釣り方について紹介します。

 この釣りは、他の釣りのタックルが流用できると思われがちですが、ご当地の釣り場の特性、仕掛けの特徴等により、かなりタックル選定や釣り方がシビアです。

 なお、シーズンに1回程、釣れている時しか来ないのに、イシナギについて語っている人もいますが、そのような人の説明は、的を外れているのであまり参考にしない方が良いです。

(その人の動画も全く参考にならないので、絶対に真似して仕掛けを作らないで下さい。)

 その方は、ご当地のイシナギ釣りは大物釣りの入門に最適と言っていますが、はっきり言ってここのイシナギ釣りは、他の地域のイシナギ釣りよりも難しく、よほど良い日に当たらない限りは、初挑戦で釣れることはありません。

 いい時にだけ1回来てたまたま釣って。それでご当地のイシナギ釣りを語る内容の薄い輩の理論など信用しない方が良いです。

 私は、いろんなメディア等で細かく釣り方等を説明していますが、過去にいい加減な輩の言うことを信じ、可哀そうな状態になった人を船上で数多く見てきたので、なるべくそのような人が出ないように情報発信をしています。

(大手メーカーのテスターは最近は質が落ちているので、情報発信の内容も疑いを持っていた方が良いと思います。)

〇 竿の選定について

  よくキハダ釣りの竿で十分という人がいますが、ご当地では錘250号を使うため、キハダ釣りで使う竿では、どうしてもオーバースペックになり、曲がり過ぎてしまい、合わせや当たりを取るのに影響があります。(使えないこともないですが、おススメできません。)

  特に、最近思うのが、ミヨシの方が釣れると思っている人が多く(常連さんが言うには、私がいつもミヨシでイシナギを釣っているためみたいですが)、短い竿を使ってミヨシで釣ろうとする人が多いということです。

  このイシナギ釣りでは、ミヨシで釣る場合、よほどの凪の時以外、1.7m前後の短い竿では、うねりで竿先が大きく上下(ミヨシの場合、海面から必然的に高くなるため)することにより、仕掛けが動きすぎ、イシナギを警戒させ、食い込まないような状況が多発します。(過去に何度も検証済み)

 特に、今回の釣行のように、波が2m以上ある時などは、私が使っているスタンディングディープ195SSよりも短い竿の場合、うねりをうまく吸収できず、仕掛けが動くことにより、棚がずれるのでイシナギは食い込みが浅かったり、全く当たりがなくなったりすることもあります。

 そのため、竿の長さは、ミヨシでやるならば1.8m以上の長さの竿を使い、かつ250号を使用しても若干先調子を保つことができるような道具を選定する方が良いです。(概ね250号を使用して7:3の調子を保てる竿が理想(剛樹のスタンディングディープ195SSや195S等))

 短い竿の方が魚のやり取りが楽なのですが、このイシナギの釣りは、ドラグを効かせて釣ることができ、また船で追い掛けてもらえるため、そこまでシビアに考える必要はないです。 

〇 リールの選定について

  基本的に各メーカーの大物泳がせで使用するような、シマノであれば6000番以上、ダイワであれば800番以上がおススメです。

  最近はライトタックルということで、ダイワの500番サイズのリールで挑戦しようとする人がいますが、1度や2度釣れたとしても結局その内に故障が生じて修理費用が高くつくことになります。

  いくらドラグを効かせて釣る釣りとは言えど、最大100キロ超えるサイズの魚にはそれなりの道具が必要です。

 実際、私が過去に50キロ超のイシナギを釣った際も、20キロサイズが連続して釣れている中で、突然50キロ超が釣れたこともありましたので。

50キロオーバーのイシナギ

 電動か手巻きかは個人の好みがありますが、棚をしっかりと取れ、かつ体力に自信があるのであれば、手巻きでも良いと思います。

〇 道糸の太さについて

  最近では、20キロ前後が釣れることが多いので、私は慣れていることもあり、ほぼ新品のPE8号を使用していますが、慣れない内はPE10号がお勧めです。

  PE12号以上の太い糸になると潮の影響を受けるため、若干食いが悪くなるのとオマツリが多くなるのでおススメしません。(PE15号を試しに使用したこともありましたが、ダメでした。)

〇 仕掛けについて

   過去の記事を参照してください。下記にリンクを載せます。(リンク先の更新は、やろうと思っていても、本業が忙しいのでなかなか手が回りません。)

   https://tyokinbako9901.jp/archives/1070 細部仕掛け等の説明を載せています。(ハリスの長さは、3mではコスパ等も良くないので、最近は2mにしています。)

https://tyokinbako9901.jp/archives/1091 本文中で仕掛け等の説明を入れています。(ハリスの長さは、3mではコスパ等も良くないので、最近は2mにしています。)

   パラソルサイズのヤリイカ用のトリプルフックのシステムについては、まだまだ検証したいので、細部は載せていません。

 (最近は、レバーブレーキのスピニングタイラバのようにすぐにパクる輩が多いので、載せるかも微妙です。(船宿の写真には写っていることもありますが・・)

   また、ハリスは60号までが限度です。

   よくネットで80号~100号を使用する仕掛けも紹介されていますが、ここ勝浦沖では60号までが無難です。(太いハリスは、根掛かりした際に切るのも大変で、かつ潮の影響を受けて当たりが減ります。)

〇 釣り方について

  この釣りは、ロッドホルダーに竿を固定して、マメに棚を取る釣りです。

  底から3~4mを頻繁に取り直すことにより、エサをフォールでイシナギに見せるとともに、常にイシナギの目の前にエサを置いてやるようなイメージです。

   反応が良い時のイシナギは、棚を取りなおすとすぐにヒットします。

   特に、勝浦のイシナギ釣りでは、底が非常に起伏に富んでおり、根掛かりしやすいため、船が前進して安定した時や特にそのような動きがない中でも、最大でも1分程で底を取り直すようにした方が根掛かりは少なくなります。

 また、根掛かりした際には、棒状のラインブレーカーは必須です。

 ルアー用のラインブレーカーでは、道糸が太いため、破損する恐れがあります。

  なお、石鯛釣りの根掛かりを切るような輪っか状の物は、危険ですので絶対に使わないで下さい。

  釣り方で棚取りの他に重要なものとしては、合わせです。

  よくイシナギをばらす人は、合わせが早いことが多いです。

  また、最近では動画等でよく見ますが、最初から手持ちで合わせを入れると、ほぼ100%に近い確率でバレます。

 (イシナギの引きに耐えられず、ストレートポンピングみたいに合わせるのも間違いなくバレます。)

  手持ちでやることがNGの理由としては、イシナギはサイズが10キロ未満の小型から100キロ超のものもいるため、どのサイズがヒットするかわからないので、ドラグをフルロックやかなりきつめにしていると、最初の引きに耐え切れず、道具を持っていかれることもあります。

  ロッドホルダーに竿を固定して、本当たりが来て合わせる理由については、ロッドホルダーに竿を固定することにより、イシナギの硬い口周りに針をてこの原理を利用して貫通させることができます。

 (針先を硬い口周りに引っ掛けて、その後の追い合わせで完全に貫通させるイメージです。)

 そのため、泳がせ針のようなストレートな掛けるタイプの形状の針を仕掛けに使い、クエ鈎のような若干ネムリが入った針を使わない理由がここにあります。(厚みのある硬い口周りを貫通できないため)

 なお、勝浦沖では、イカエサをメインに使用するため、クエ鈎のようなネムリ鈎を使うようなエサ(サバ等)はあまり使用しません。

 イシナギに対して何度も強力な合わせが必要なのは、いくらてこの原理を利用して掛けても、食い込みが悪い時など、針先のみが掛かっていることもあり、深く食い込ませるためです。

 この合わせの際に重要なのが、前述した竿の調子で、あまり曲がり過ぎる竿だと、竿が合わせる際の力を吸収してしまい、合わせが効かず、結局針が貫通せずにバレてしまいます。(極端に竿が柔らかいと経験上イシナギが違和感を感じてエサを途中で放すことも多いです。)

 釣り方の結論としては、マメな棚取りとロッドホルダーに竿を固定して、しっかりと本当たりで何度も合わせを入れることが大切です。この釣りでは早合わせは厳禁です。

〇 その他

  イシナギは背びれが非常に大きく鋭いため、何らかの拍子で刺さる可能性もあり、イシナギが生きている間は絶対に膝に乗せて写真を撮ろうとしないで下さい。

(イシナギのぬめりは、独特の匂いもあり、ウェアに付くと非常に臭いが落ちにくいので、あまり膝乗せは安全面上のことだけでなく、おススメはしません。)

  過去に漁師がイシナギの背びれに刺されてなくなった事例もあるぐらい危険です。

  釣りはあくまでレジャーなので大きな魚を釣って舞い上がることもあるでしょうが、怪我をすれば自分だけでなく、船長や同船者等周りの人を巻き込んでしまうので、注意する必要があります。

 また、イシナギは食品衛生法上でも規定されていますが、肝臓にビタミンAを過剰に含んでいることもあり、食べると中毒を起こすので、少量であっても絶対に食べてはいけません。

 さらに、アブラボウズやベニアコウ等と同様に、イシナギにもアニサキスがたくさんいますので、刺身等で生食をする際は注意する必要があります。