1 記事の概要について

 タイラバのヘッドの状況に応じた材質の選び方などについての記事です。

 鉛製品とタングステン製品の使い分け等について紹介しています。

 2 はじめに

   タイラバのヘッドには言わずと知れた鉛製品とタングステン製品があります。

   一般的な特性は、いろいろなサイトで書かれていますが、今回の記事では自分の全国各地でのタイラバの経験や他の釣りの経験で体験したことからの見解を書きます。

 3 鉛製品について

   一般的に鉛製品は一番ポピュラーなものです。

   初めてタイラバをする人には鉛製品がお勧めです。

   鉛製品の良さは、特に形状のバリュエーションの多さとタングステンに比べての表面の大きさが特徴的です。

   沈下速度はタングステンに比べて遅いものの、その分PR力があります。

   形状についてはこの後の記事で紹介しますが、基本的にはそんなに形状を揃える必要はありません。

   メーカーはいろいろな形状が必要と言っていますが、激渋の時に魚が口を使うのは基本的にリアクションバイトのことが多いです。(一部例外でアミパターンなどもありますが)

  九州では年間真鯛を200枚以上釣って、北海道のタイラバでは年間5000匹以上釣っていた経験によります。

  鉛製品のヘッドはタイラバワームとの相性も非常に良いです。

  タイラバワームはタングステン製品と使うと非常に相性が悪く、それぞれの長所を台無しにします。

  鉛製品でヘッドを揃えるなら、基本的にはダートするタイプと丸い沈下が速いタイプの二つがあれば十分です。

左がダートするタイプ、右は比較的巻き抵抗が少ないタイプ

  フォールを重視したヘッドというものも最近は多いですが、基本的には夏場のイワシを追って活性の高い真鯛以外はあまり食いません。

右から二つがハヤブサのWFというフォールを重視したタイプ、左の二つはジャッカル製品のタングステン製品
レバーブレーキのスピニングタイラバ向けですが、最近はあまり出番なし(巻き抵抗が大きい)

  九州ではよくフォールで食いますが、東京湾ではフォールで見せて、巻き上げで食わせるレバーブレーキタイラバのコンビネーションフォールぐらいしか食いません。

  フォールを重視したタイラバは基本的にはあまり出番はないので買わない方が良いです。

  経験上、そのような特殊なタイラバに食うのは偶然食っただけであり、通常のヘッドでも真鯛の目の前を通れば食います。

  メーカーは最近の真鯛は昔に比べて食いにくくなったとか言ってますが、15年以上タイラバをしていますが、単にメーカーのネタ切れやマンネリを防ぐために新しい製品を出しているだけです。

 タイラバをする人が増えて魚が学習したというのはありますが、それはこちらの本を見れば魚の学習には、実験的な環境でもかなり時間がかかるので、そこまで考えなくても良いことだと思います。

内容は少し難しいですが、興味深いです。

 過去の記事でも触れていますが、あくまでタイラバで重要なのは、釣り座であり、たくさんの釣り人が乗っている船で食わせるには、余程低活性でPR力がないようなタイラバの設定でない限りは、釣り座が良い人には敵わないと思います。

 タイラバだけでも高級車が数台買えるぐらい費やしたので、今ではいい経験になっています。(ジギングも極めるために同じぐらいかけてます。)

 意外と最近タイラバを始めた人は知らない人が多いと思いますが、タイラバの黎明期にはタングステンに比べ鉛製品は音が響きにくいという特徴があり、鉛製品が広く使われていた時もありました。

 実際に、堤防の落とし込み釣りなどで経験しましたが、鉛や貝殻などゆっくり落ちるものは魚が逃げずに追いかけたりしますが、タングステンや比重の大きい石などを落とすと魚は一目散に逃げることがあります。

落とし込みの定番外道イラ(ハトポッポ)

 着水時の音ではなく、違和感を感じているようでした。

 なお、堤防の落とし込み釣りでは真鯛が結構ヒットします。

真鯛が釣れる釣り場はヒラスズキも夜に多いです。(長崎県のとある島で釣りました。)

 音は水中でもかなり響くので、タングステン製品は早く着底するけど、魚が釣れないという実験をしていた人も過去にはいました。

 なお、遊動式インチクのようにヘッドが細長い製品は、横引きするようなドテラの状況や水深が100m以上の中深海を狙う時以外しか使いません。

このように長い形状のヘッドはわざとタコベイトでボリュームを付けるのが良いです(大型の真鯛やヒラメの実績あり)
上のインチクで釣れたヒラメ6キロ超(水深150m)

 100m以浅のバーティカルでそのような形状のものを使うと、ネクタイ等が動かず釣れません。

 対処方法としては、ネクタイやスカートではなく、タコベイトに交換して使いますが、小型の多い関東の東京湾などでは、試しましたが向かなかったです。

 なお、アマダイには鉛製品の方が釣れるみたいです。

 過去に釣ったアマダイは全て鉛製品のヘッド。(アマダイの住処は砂地なので、タングステンは埋まるためかもしれません。)

タイラバで時々釣れるアマダイ(大型が多い、写真は40センチ超)

 4 タングステン製品について

   この後に書く予定のタイラバのローテーションについても述べようと思っていましたが、タングステン製品で速く着底させたら魚が食うと思っている人もいますが、これは誤りです。

  鉛製品の所でも述べましたが、鉛製品は表面積が大きいので、形状によりけりなところもありますが、概ねタングステン製品よりも水流が大きく発生し、ネクタイ等を揺らすことができます。

  タングステン製品は、表面積が小さく水流が鉛製品に比べて少ないので、早く落とそうが活性が高ければ後から落ちて来た他の人の匂いや味が付いているワーム付きの鉛製品に先に食ってくることがあります。

 基本的には、鉛製品でヘッドをわざと重くして活性の高い魚から順に釣っていくやり方が一番釣果が上がります。(目論見が外れることもありますが)

 この方法だと大きな真鯛がよく釣れて効率が良く、15年以上も前から私が推奨してきたバーティカルのスピニングタイラバ(レバーブレーキのスピニングタイラバ)とも相性が良いです。

 巻きが軽くなるというのを良い点としている人もいますが、基本的にタングステンは激流やドテラ流しで、タイラバのヘッドが動きすぎるような時や魚が低活性の時にあまりネクタイを動かしたくない時やネクタイを細くして使う時にぐらいしか出番がありません。

 この特徴を利用して、人が多すぎてプレッシャーが高く、低活性な時に例外的な手段で使う時もあります。

 しかしながら、冬の低活性の時(海苔・海藻パターン)にも経験しましたが、巻き速度を極めてゆっくりにするだけでも低活性の魚に口を使わせることができます。

 タングステン製品は北海道のタイラバでは不適で、北海道のタイラバは基本的に活性の高い魚をまず鉛ヘッドでワーム付きのタイラバで釣って、活性が低い物は通常のタイラバでヘッドは鉛製品で狙います。

北海道のソイ類には鉛製ヘッドとタイラバワームが特効

 北海道のタイラバでは、根の荒い岩礁帯を釣るので、ヘッドのサイズが小さいタングステン製品では、根の隙間にはまることが多く、着底を感じやすくても、着底したら転がってはまって終了ということも多々ありました。

 タングステン製品の応用方法としては、水深100m~200m超をスピニングタックルで狙うディープスピニングタイラバでも使えます。

初期のバーティカルのスピニングタイラバのコンセプトで最近になってやっと最適な道具が見つかりました。(北海道のタラなどで改良のためのデータを収集)

 どんな水深でもスピニングタックルでやることを貫いてきましたが、ベイトに比べると感度が高いものの、やはり構造上巻き上げ力が弱い(ディープスピニングタイラバの改良タックルなら問題ありませんが)ので、中深海のタイラバをする時は、ヘッドの形状や材質の面で抵抗の少ないタングステンを重宝します。

 鉛製品でもハヤブサ製品の300g以上のヘッドは暴れすぎてダメです。(本当に潮が動かない時ぐらいしか釣れない、ヘッドが水流を受けると暴れすぎて穂先がぶれるので)

 個人的にはタングステン製品は、潮が速い時や活性が低い時にその状況に合わせたネクタイを使うのには向くものの、あくまで例外と考えています。(年間100日以上タイラバに行っていた時もありましたが、そんな時でも1回遭うか遭わないかぐらいのレアケースでした。(釣り場は九州です。))

5 結 論

  基本的には鉛製品で、種類は少なくて良いと思います。わざわざ高いタングステン製品をたくさん揃えても、高いからと言って釣れるわけではありません。

 道具が増えるほど判断要素が多くなり帰って集中できなくなることも多々あるので、あくまでタイラバのヘッドは自分の実績のあるもので固めて、なるべく新製品を買う場合は吟味した方が良いです。(新製品を使わないと食わないような状況はまずないので)

 メーカーの宣伝に惑わされず、自分のスタイルで楽しむ釣りをお勧めします。 

デメリットが多いレバーブレーキのスピニングタイラバですが、個人的には日本各地をともに渡り歩いて思い入れがたくさんあり好きです。

 今ではすっかり過去の遺物になった固定式タイラバですが、ちょっとした工夫でも釣れます。  また、ディープスピニングタイラバのタックルやタイラバやジグ等ではない新しい釣り方についても紹介していきます。(温故知新が大切です。)

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