故郷の九州ではあまり盛んではありませんでしたが、関東近郊で非常に人気のあるヘラブナ釣りについて紹介します。

 この釣りの魅力は、日本古来の釣りで非常に趣があるのと、すべての釣りに通ずるもの(合わせの技術、エサのばらけ方の計算等)がたくさんあり、考えて結果が出るととても充実感があることです。

そのため、この釣りを経験すると必ず他の釣りの技術に関しても上達できると思っています。

今回は、私がこの釣りを始める際に特に強く感じた、初心者の方が一番迷うことについて紹介していきます。

【釣り方の概要について】

 延べ竿を用いての釣りになります。

 この釣りでは、釣り場によって、延べ竿の長さを最大で21尺(約6m超)まで使います。

 また、季節によってヘラブナの生息状況が変わると、それに合わせて深場を攻めることにより、いくつか竿の種類が必要になります。

【必要な道具について】

 前述したように延べ竿が必要です。

 この釣りでは、延べ竿だけで釣りをするというのができません。

 その理由としては、ヘラブナはプランクトンを主食とする魚のため、他の鮒やコイと違い、ダンゴエサが主流となり、そのダンゴエサを付けて釣りをするために、釣り座が必ず必要となります。

 具体的には、釣り座の基礎となる、釣台とエサを付けたり、当たりを待つのに絶対に必要な竿掛け、エサを入れておく洗面器、釣れた魚を入れるスカリを固定するための道具等いろいろとあります。

釣り座の様子(準備中の状況)

 必ず必要なのは、釣台と竿掛けでこれがないと釣りになりません。竿を脇に挟んで付けるのは効率が悪くできません。

 その理由として、エサを投入すると大体速いと10秒程でエサがなくなります。

 このヘラブナ釣りでは、エサの種類などにもよりますが、手返しがすべてです。

 そのため、餌付けに手間取って投入回数が少なくなるとせっかく寄らせた魚が散ることもあるので、竿掛けは必須となります。

 ヘラブナ釣りのベテランの方には、忘れたら釣りにならないので、予備を持っていく人もいるそうです。

 竿掛けは大体、竿の長さに応じて長さを変えます。表記として1本半等の表記があり、竿の長さによって、竿掛けの棒を2本繋いで1本半の状態にするか、1本の部分だけを繋いで使うかにわかれます。

 私は普段、10.5尺の竿を使う時は、1本のみ繋いで、半分の部分は使わないでやっています。

 あったら良い道具としては、ヘラブナ用のたも網や針外しがあります。

 (どちらかというと、針外しは必需品になると思いますが・・)

ヘラブナの針外しはお洒落なものが多いです。

 たも網も普通の海釣り等のものとは異なり、1mぐらいの特殊なものになります。

個人的に枠はカーボンを使用したものが使いやすく感じました。タモの柄は、「かちどき」の限定カラー

このたも網は、特に大型が出る場所では重宝します。

小型相手の場合は、そのまま寄せて針外しで外してリリースをします。

 針外しは、ヘラブナの針が返しがないので、なくてもテンションを緩めると外れるので、問題はないとは思いますが、なるべく魚体を傷つけないようにするためにはあったほうが良いです。

(人によってはしっかりと魚を持って写真を撮ったりしている人がいますが、魚にとってはものすごいダメージなので止めて下さい。)

長さはいろいろな長さがありますが、最初の1本としては長い方が良いそうで、私は長いもの(45センチ程)を使用しています。

 道糸は、ナイロンの0.8号~1号を使う人がほとんどです。

 また、ハリスは0.4~0.5号を使うのが一般的だそうで、状況によってこれより細くしたり、春先の大型狙いなどでは太くするそうです。

 海釣りしかしない人には細すぎるように感じますが、川の魚自体は非常に繊細な面があり、なるべく仕掛け自体細い物が多いです。別の理由としては、なるべくハリスを細くして、鯉が掛かった時に切れるようにして、仕掛けの全壊を防ぐという理由もあります。

 仕掛けも、釣り方によってハリスの長さ等が異なるので、その釣り方に応じたものを使用します。

 浮きは、釣り方によって種類があり、その釣り方に応じたものを使用します。

 また、その日の状況に合わせて、浮きのトップをどれだけ出すかを考えて号数を選択します。

 エサも釣り場や季節、釣り方によってブレンドが変わるので、事前に釣具屋さん等で確認して揃える必要があります。

【ヘラブナ釣りの注意点と釣り方のポイント】

 この釣りは、非常に人気のある場所では、人が密集することもあるので、先客がいる釣り座に入る際には、必ず挨拶をして入ることで無用のトラブルを回避できます。(最低限のマナーです。)

 やってはいけないこととして、エサが余ったからといって川や池に捨ててはいけません。

特に、他の釣り客がいる時にすると、捨てたエサに魚が寄っていくので、顰蹙を買うそうです。

 釣り方のポイントとしては、なるべく遠くへ仕掛けを投入して、ラインが浮きの動きに影響が出ないように、うまく調整することです。

 合わせるタイミングですが、これはその時の状況によって異なりますが、即合わせよりも1呼吸置いたぐらいが一番掛かりが良いと感じています。

 合わせるタイミングによっては、ヘラブナの鱗のみが針に付いたり(スレがかり)、残りのエサが落ちたりするので、本当に難しいところです。

 ヌーっと浮きが沈んでいく時は大体コイがヒットしていることが多いです。

 この釣りでは一番迷惑な外道で、上手くやり取りして釣れるサイズなら良いのですが、時には5キロ超の大きな魚もヒットし、ハリスが切れないと竿を折られたり、仕掛けが切れて浮きを持っていかれることがあるので要注意です。

外道のコイ、釣りをしていないのであればかわいいものですが・・・

 その他の外道としては、マブナやニゴイ、場所によってはナマズ等もヒットするそうです。

この後、タモは洗剤と陰干しを2回やって臭いが消えました。それぐらいニゴイは臭いです。

 時間帯としてはやはり川の魚なので、水中光量が多い日中よりも、朝や夕方の方がヒットが高いです。このあたりは、他の渓流魚と同じと考えて良いです。

【結言】

 ヘラブナ釣りは、道具も高い物は100万円以上するものもあるそうですが、入門者に最適な道具として、1万円ぐらいからあります。(釣台は別途必要ですが。)

 エサ代も2時間~3時間ぐらいなら、1回あたり300円ぐらいなので非常にリーズナブルな釣りです。(筆者は、ぱっと釣って帰りたいタイプの人間のためいつも少量しか使いません。)

 特に、この釣りは繊細な仕掛けを使ったやり取りをするので、海の大物釣りにも必要なやり取りを学ぶにはいい勉強となると思います。

 川や沼、湖の釣りではどうしてもブラックバスの方が人気ですが、ヘラブナも大きい物は50センチ程になり、相当引くので魅力的な釣りだと思いますので、非常にお勧めです。